既設の地盤が強いのか弱いのか
増築等をする時に知りたいのは、既存の地盤は強いのか、それとも弱いのかです。
地盤調査をすればわかりますが、お金がかかります。
地盤調査をすべきかどうか?の判断を簡単に解説いたします。
地盤の現地調査
1. 地盤に関する過去の問題
- 理由:過去に地盤沈下や液状化、地盤の軟弱化が報告されている地域では、地盤の再評価が必要です。
- 判断基準:近隣で地盤問題が発生している場合や、自治体から地盤の問題に関する警告を受けている場合。
2. 過去5年間に擁壁などの盛土を行ったか
- 理由:盛土は切土に比べ地盤が弱いです。5年ほどで安定すると一般的には考えられます。
- 判断基準:擁壁近くなどの盛土を行った事があるならば、5年経過しているかどうかです。
3. 建物が傾いている
- 理由:沈下の可能性が考えられます。
- 判断基準:1mで6ミリ 9mほどで5.4㎝。目視ではわかりづらい為、レーザーにて計測しましょう。
4. 基礎の不具合
- 理由:基礎のひび割れは地盤の問題が原因である可能性があります。
- 判断基準:基礎のクラックが沈下クラック、構造クラックだと沈下の可能性があります。。
5. 周辺環境の変化
- 理由:周辺での新たな建設工事や地形の変化が地盤に影響を与えることがあります。
- 判断基準:隣接する敷地で大規模な建設工事が行われている場合や、土地の造成が行われている場合。
6. 法規制の遵守
- 理由:特定の地域や用途においては、法規制により地盤調査が義務付けられている場合があります。
- 判断基準:防火地域や風致地区など、特別な規制が適用される地域でリフォームを行う場合。
7. 保険の適用
- 理由:地盤調査を行うことで、建物保険の適用範囲が広がったり、保険料が減額されたりする場合があります。
- 判断基準:地盤調査の結果が保険契約に有利に働く場合や、保険会社が地盤調査を推奨している場合。
8. 安全性の確保
- 理由:地震や災害時の安全性を確保するためには、地盤の状態を正確に把握しておくことが重要です。
- 判断基準:地震の多い地域や土砂災害のリスクが高い地域でリフォームを行う場合。
地盤調査を実施することで、リフォーム後の建物の安全性や耐久性を確保し、長期的な安心感を得ることができます。判断に迷う場合は、地盤調査の専門家や建築士に相談することをお勧めします。
調査の方法には、下記があります。
リフォームでは主にSS試験 (旧スウェーデン式サウンディング試験)を採用します。
1. 表面波探査(SPT:Standard Penetration Test)
- 方法:ドリルで地盤に穴を掘りながら、一定の深さごとに標準貫入試験器を挿入し、打撃回数を測定する。
- 特徴:地盤の硬さや密度を直接測定できるため、信頼性が高い。
- 適用:新築や大規模リフォーム時に使用される。
2. ボーリング調査
- 方法:掘削機を用いて地盤に深い穴を掘り、土壌サンプルを採取して地質を分析する。
- 特徴:詳細な地層構造や土質の情報が得られるため、精度が高い。
- 適用:新築や重要な建物のリフォーム時に用いられる。
3. スウェーデン式サウンディング試験(Swedish Weight Sounding Test)
- 方法:細いロッドを地盤に挿入し、回転数や貫入抵抗を測定する。
- 特徴:比較的簡便かつ迅速に地盤の硬さや強度を測定できる。
- 適用:小規模リフォームや簡易な地盤調査に適している。
4. 平板載荷試験
- 方法:地盤の表面に載荷板を設置し、荷重をかけて沈下量を測定する。
- 特徴:地盤の支持力や変形特性を直接測定できる。
- 適用:基礎の改良が必要な場合や既存の地盤の強度確認に使用。
5. オランダ式二重管サウンディング試験
- 方法:二重管を地盤に挿入し、内管と外管の貫入抵抗を測定する。
- 特徴:地盤の層ごとの強度や密度を詳細に把握できる。
- 適用:詳細な地盤情報が必要な場合に適している。
6. 地中レーダー探査
- 方法:地中に電磁波を照射し、反射波を解析して地盤の異常を検出する。
- 特徴:非破壊で地下の空洞や異物を検出できる。
- 適用:既存の建物周辺の地盤調査や埋設物の確認に使用。
地盤改良
地盤が弱い場合、建物の基礎を安定させるために地盤改良が必要です。以下に主要な地盤改良方法とその適用例を示します。
- 柱状改良
- 方法: 地盤にコンクリートやセメントミルクを注入し、柱状の改良体を形成します。この改良体が基礎を支える役割を果たします。
- 適用例: 軟弱地盤や地下水位が高い地域で使用されます。中高層建物や重機の影響を受けやすい地盤に適しています。
- 鋼管杭
- 方法: 鋼管を地中に打ち込み、地盤の深い層にある強固な地盤に到達させます。鋼管が建物の荷重を支持します。
- 適用例: 深い地層に強固な地盤がある場合に使用されます。特に大規模な建物や重い構造物に適しています。
- 薬液注入
- 方法: 地盤に薬液を注入し、土粒子間の結合力を強化します。薬液が固化することで地盤の強度が増します。
- 適用例: 砂質地盤や埋立地など、局所的に改良が必要な場合に使用されます。地下水位の変動が少ない地域で効果的です。
地盤沈下の対策
地盤沈下は、地盤の圧密や地下水の汲み上げなどが原因で発生します。以下にその原因と防止・補修方法を説明します。
- 原因
- 圧密沈下: 建物の荷重により、土粒子間の水分が排出され、土粒子が密集することで沈下が発生します。
- 地下水の汲み上げ: 地下水を過剰に汲み上げると、地盤が沈下することがあります。
- 軟弱地盤: 天然の地盤が軟弱であるために、建物の荷重に耐えられず沈下が起こります。
- 防止方法
- 適切な地盤調査と改良: 地盤調査で地盤の性質を把握し、必要に応じて地盤改良を行います。
- 地下水管理: 地下水の過剰な汲み上げを避け、地下水位を適切に管理します。
- 基礎設計の改善: 建物の基礎設計を工夫し、荷重を均等に地盤に伝えるようにします。
- 補修方法
- 薬液注入: 地盤に薬液を注入して沈下を防ぐ方法です。薬液が固化することで地盤の強度が増し、沈下を防止します。
- アンダーピニング: 既存の基礎の下に新たな基礎を設置し、荷重を深い強固な地盤に伝える方法です。
- リフトアップ工法: 沈下した建物をジャッキアップし、沈下分を修正します。その後、修正された高さに応じて基礎を補強します。
これらの対策を講じることで、地盤沈下のリスクを低減し、安全で安定した建物を建設することができます。